春山合宿 北方稜線縦走 (赤谷山〜剱岳〜早月尾根)
日時 2010年4月30日夜行〜5月4日(夜行3泊4日)
メンバー 加藤・木下・亀谷
4月30日 18時横浜発(中央道経由〜北陸道〜滑川IC〜馬場島)途中仮眠
5月1日(晴)
馬場島6:15〜取水堰亭堤7:15〜20〜ブナクラ乗越(右俣)11:00
馬場島の警備隊に登山届を出し出発。(6:15発)白萩川の左岸の林道を進みブナクラとの出合いからに右に別れ取水口を過ぎ
てから尾根に取付く、始めは川沿いに進みやがて藪漕ぎで樹林帯の中に入る、この辺りから雪が深くなってくる、(今年は雪
が多い)傾斜のきつい登りを進むと上部に赤谷の乗越が見えてくる、我々の前に先パーティが赤谷山に登って行くのが見え
る、その時、会長が熊の足跡を見つけあたりを見渡したら20m先に熊がいるではないか!すぐカメラを取り出し撮ったのです
が、熊も我々を見て駆け足で逃げて行く、この山域で熊に遭遇するのは2度目である(一昨年も熊に出会う) やがて乗越に出
ると丁度良いテン場がある、今日はここまでとする、前人者が雪のブロックで囲いをして良く出来た場所にテントを張り、前夜か
らの疲れもあり少し早目の休息に入る(11:00着)
5月2日(晴)
6:15発〜赤谷山8:10〜大窓コル12:05〜大窓の頭14:00〜池の平北峰鞍部14:00
4:00起床朝食を早々に済ませ(6:15発)天場からは、赤谷山の急な登りに取りつく、2時間弱で広々とした頂上に出る。(昨夜
は何組かのパーテイが泊った天場跡がある)正面に朝焼けの剱が大きく見え素晴らしい眺めである、今日の核心部の通過の白
萩山、赤ハゲ、白ハゲと続くナイフリッジの峰々が見える。一歩足を踏み外すと滑落する、雪稜を慎重に通過する、大窓へは雪
壁のトラバース後、白萩川側に下り雪壁をトラバースすると大窓だ、ここから池の平山北峰の登り(大きなクレパスがある)小黒部
側に回り急な雪壁を登り回り込んで下降する、(今日の一番の難所かも?・・)小さな鞍部があり、今日は此処までとして、テン
ト設営準備にはいる(14:40着)
5月3日(晴)
5:50発〜池の平北峰6:05〜池の平南峰6:35〜小窓のコル9:10〜30〜小窓尾根10:30〜小窓王11:30〜三の窓12:10〜 池の
谷乗越13:10~15〜長次郎の頭13:40
4:00起床〜5:50出発 今日は加藤さんと替りトップに入る、緊張しながらの出発。天場からいきなり池の平山南峰の登りに取り
つく岩の出た痩せ尾根や雪稜を登り稜線直下の岩峰を小黒部側から急な雪壁を登ると南峰の頂上である、頂上から小窓尾根
の急な雪壁、長く池の谷のガリまで見渡せる。休憩後、南峰からリッジ沿いに雪壁・這い松帯の急斜面を懸垂下降する。(今
回は9o50mのザイル一本)2ピッチで20m位バイルを使ってやっと小窓に着く。休憩後、小窓尾根への長い登りに取りつく1時
間程で稜線に出で小窓の頭〜小窓王に出る。小窓王から三の窓への急な下りは、懸垂下降(2ピッチ)三の窓には5張り位の
テントを見ながら、池の谷のガリの雪壁を登り(大変苦しい)池の谷乗越にやっと着く、剱岳がもう、手の届く処に我々の視界に
押し迫ってくるほどなく長次郎の頭を過ぎ、次のピーク上で時間切れ、今日は此処までとしてテントの設営に入る。稜線上のピー
クであり風が強く快適とは程遠い一夜であった。(眺めは目の前に大きく剱岳〜後立山が見られ最高)14:20着
5月4日(曇)
6:05発〜剱岳6:55~7:00〜早月尾根(2600m)9:50〜早月小屋10:40〜11:00〜馬場島14:00
4:00起床〜6:00出発 昨日はっきり見えた本峰までの尾根(ナイフブリッジ)が今朝がたは、ガスがかかり視界が悪い2m先位しか
見渡せない尾根を慎重に、剣岳本峰の急な登りに取りつく、頂上が何処わからず模索していると、前方から登山者が登ってき
て、ピークは何処ですかと聞かれ?皆してもう一度、数メートル戻る。(笑) 視界が悪いのと、夢中で登って来た為頂上を通り
過ごしていた様です。別山尾根から登って来た若者に写真を撮ってもらい、早月尾根の下りに取りつく。今日はもうザイルを使
わないだろうと思って居たのですが、下りに入って直ぐに急斜面の雪壁に思わず足がすくむ。懸垂下降(2ピッチ)少し時間が
かかり後続パーテイも懸垂準備待ちとなっていた、獅子頭を過ぎてからもう一度懸垂下降に入る。長い雪稜を超え眼下にやっと
早月小屋が見えて、やっと安堵する。早月小屋でハーネスや登攀用具を取り外すし身軽になって下山する。長い早月尾根の
下り、眼下に馬場島が見えてくると、我々の苦労を癒してくれる様に岩ウチワやカタクリの花が迎えてくれた。馬場島に到
着14:00 長い労を三人で握手を交わして拳闘祝った。
☆ 観光で来られたと思われる家族が近寄り、剱から来たのですかと聞かれハイと答え、色々状況を聞かれ話しているうち、若
奥さんの様な方から、突然握手を求められ皆して握手を交わし喜びを共有して感激した一時であった。人は常に夢を抱き、
何かに挑戦して自分の限界に挑み、生きている証として心に刻んできた山男達、自分の快挙を自慢するのでなく、あくまで
も謙虚で素朴で童心な山男に誰もが心打たれたのかも知れません。?
(写真、文 亀谷)